羽曳野キャンパスにて行われた、総合リハビリテーション学類 作業療法学専攻(地域保健学域)の「作業療法義肢装具学II」を取材させて頂きました。

この授業は作業療法学専攻の3年生が受講し、『大学教育再生加速プログラム』(Acceleration Program for University Education Rebuilding : AP)の一環としてタブレットを用いた反転授業を実施し、義肢装具の製作や適合などの総合的知識を深めています。

 

■義肢装具学とは?

本講義では義肢装具の種類や構造・機能・材料・製作などの基礎的知識を身に着け、上肢装具の製作実習を行うことで装具の製作・義手の適合判定・評価・訓練が出来る事を目標としています。

 

■なぜ作業療法学専攻で義肢装具学を学ぶのか?

上肢義肢装具の領域には、義肢装具士という資格がありますが、もともとは作業療法士が担うことが多く、医師、看護師、義肢装具士などと連携して適切な義肢装具を患者に提供しています。作業療法士は上肢の補装具を作る機会が多く、作業療法士が患者の状態や要望を引き出し義肢装具士へ伝えたり、義肢装具士から受けた使用法を患者へ伝えたりと、患者と義肢装具士の間に入る事で伝達をスムーズにしています。その際に、この義肢装具の基本的知識が必要となってきます。

担当教員の小島久典講師

担当教員の小島久典講師

 

■授業内容

生徒達が製作した「コックアップスプリント(※)」と呼ばれる補装具のチェックアウトと修正が今回の授業内容でした。

(※)スプリント
スプリントの目的は、患部の固定、関節の変形予防や矯正などです。
痛みや炎症が起きている部位を安静に保つための固定、リウマチなどによる関節変形の予防、骨折部位や術後の軟部組織の保護、麻痺で弛緩した筋の代用など、期待する効果に応じて様々な目的で作製することができます。

 

前回までの授業で、2人1組のペアでお互いの腕に合うコックアップスプリントを製作。今回の授業では、序盤からコックアップスプリントを装着し、2~30分着けたまま授業を聞きます。そしてその後、神経の一時的圧迫による知覚異常がないか(スプリントが体にフィットしているか)、皮膚の色や温度を確認します。

 

形が身体に合わず、痛みがある場合や皮膚が圧迫されている場合は、コックアップスプリントを80℃のお湯に浸して形を微調整していきます。学生たちは「熱を加えて変形させる為、体に装着しながら調整できない分、フィットする形を作る事が難しい」と奮闘していました。

 

実際の臨床現場では、コックアップスプリントを製作して2・3時間毎に患者の容態を見ながら細かい修正を行うそうです。

 

■学生の感想

Q 今回の授業で難しかった点・工夫した点を教えて下さい
A  初めて作ったコックアップスプリントでしたが、やはり自分ではなく相手に合わせて作る事が難しかったです。患者がどんな状況か、痛みや不快感があるか…患者さんの身体に「合わせる」事は作業療法士にとって重要な事なのですが、一番難しい事だと感じました。その難しい問題を解決する為に、相手役とこまめにコミュニケーションを取るよう工夫しました。

Q なぜ府大の作業療法学専攻を受験したのですか?
A 1学年が少人数なので大人数の大学より細かいサポートが受けられると思いました。
オープンキャンパスで先生や先輩の話を聞き、こんなかっこいい先輩の様になりたいと思った事も大きな理由です。

 

Q 今後の目標を教えて下さい
A 私は身体障害領域、つまり病院等でリハビリをする作業療法士になる事が目標です。
患者様の疾患や障害のみならず、生活や生きてきた歴史、何より患者様ご本人をしっかりとサポートできるような作業療法士になれるように頑張っていきたいです。

 

■授業の雰囲気

27人1クラス。全体的に女子が多めのクラスですが、男女の仲が良く、授業中の発言も活発に飛び交う良い雰囲気でした。担当教員の小島久典先生と生徒達の距離も非常に近く、学生たちの学習意欲の高さは、列を作って先生に質問する様子からも伺えました。

これから3年生は実習が続き、就職活動・国家試験と大変な日々が続きます。作業療法学専攻のみなさん、頑張ってください!

 

【取材日:2017年11月15日】※所属・学年は取材当時